とあるHP-UXサーバマシンのシステムディスクは32GBのHDD
2台で構成しているが、これを73GBのHDD 1台にまとめる必要がでてきた。

作業中にvgのパラメータ変更の必要が生じたので、
記録がてらに記事を書いておく…
なお、業自体は既に完了しているため、
当時の構成を再現して実施しています。。。

システムディスクの移行にはいくつかの方法がある。
ぱっと思いつく方法としては2つ

  • Ignite-UX を利用したバックアップ/リストアによる移行
  • Disk to Disk(D2D) によるダイレクトな移行

一番確実な方法としては、オリジナルDiskが保持でき
なおかつバックアップが取得できるIgnite-UXだろうが、
ここでは、D2Dを使って移行することとする。


現在システムからアクセスできるDiskの一覧
この中から、システムDiskとして利用されているDiskを確認するには
次のコマンドを利用すればいい


システム領域(vg00)に disk8、disk9 が登録されている事がわかる
これらのDisk容量を確認してみよう。


およそ32GBの容量であることが確認できる。
となると、移行先のDiskは残りの1台であるはずだ。


およそ73GBであることが確認できた。これで間違いない。

しかし、システムディスクの名前がdisk10とは何とも気に入らない。
せっかくなので、若い番号に変更しておこう。


Legacy にも、過去に接続されていたデバイスにも若い番号は
登録されていない事が確認できる。


インスタンスの変更はHP-UX11i Version 3 からは大分楽になっている
disk や tape などのデバイスは基本的にオンラインで変更が可能だ。

vi などで、変更したH/W Path、Class、変更後のインスタンスの順に
記述したテキストファイルを作成し、ioinit コマンドを発行すれば良い。


インスタンスが変更され、新しく disk0 が作成されている事が確認できる。
ただし、古いデバイス名も存在しているため、これらは手動で
削除しなければならない。


これで、デバイス名の変更は完了した。

さて、いよいよ移行を開始しようかと思うが、D2Dでも色々な方法がある
今回は2台から1台への変更のためH/Wレベルでの冗長機能(ミラー)や
DD コマンドなどは利用できない。ぱっと思いつく方法としては3つ

  • pvmove コマンドによる移行
  • MirrorDisk/UX による移行(ソフトウェアミラー)
  • DDコマンドによる移行(Disk丸々コピー)

pvmoveコマンドは、Lvolを同一vg上の別Diskに移動できる機能だが、
オリジナルが保持できないため、MirrorDisk/UXを利用することとする。


MirrorDisk/UX がインストールされている事が確認できる。

さて、ここで1つ問題が発生する。
通常vgには作成時にどれくらいのサイズまでのDiskが利用できるか
などの上限が設定されているためだ。
現状のシステムディスクは32GBであり、追加するディスクは73GBになり
追加できるDiskサイズの上限を超えてしまっている。


PE Size (Mbytes) は 8 に設定されており、
Max PE per PV (Disk当りの最大PE数)が、 4238 に設定されていることから
8 * 4238 = 33904MB これが追加できるDiskサイズの上限となってしまう。
これでは73GBのDiskを追加するには到底足りない。

HP-UX11i Version 3 では、vgのパラメータを変更できる
vgmodify コマンドが大幅に強化されている。パラメータ変更時に対象vgが
オフラインである必要があることを除けば、非常に有用な機能だ。


必要なDisk領域サイズとしては次のようになる
(76546048/1024)-500-400 = 73852
※ 500、400 は、EFI領域とHPSP領域のパーティションサイズ分

必要なMax PE per PV サイズは次の通り
73852/8 = 9231.5
※ 繰り上げて、9232 とする。


“-r” の Report オプションを使いコマンドが有効か確認してみる。
VGRAのサイズが不足していると言われ実施できないようだ。

データディスクであれば、pvmove [対象Disk]:0 [対象Disk] コマンドで
Diskの先頭PEを下位の未使用PEに移動し、VGRA領域を拡張することで
実施が可能な場合があるが、ここではそれもできないため、
現状のVGRAサイズで可能な変更を確認してみることとする。


Max PE per PV で9232 を確保するためには、Max PV の値を
9 に設定してあげれば良い事がわかる。
それでは、試してみよう。


問題なく実施可能なことが解る。
コマンドの実行には、vgがオフラインの必要があるため
LVMメンテナンスモードで再起動をする必要がある。


通常どおり再起動を実施し


HP-UX起動時の10秒カウントで停止させる


通常起動時のコマンドに “-lm” を付けてシステムを起動する。


これで、LVMメンテナンスモードでの起動は完了。
あとは先ほどの vgmodify コマンドを実行すれば良い。


これでvgのパラメータ変更はOK。


vgmodify が終わったら、いくつかのおまじないコマンドを実行し、
システムを再起動すれば、作業の下地はOKだ。


Max PV及び、Max PE per PV の値が変更された。